トキメキのその瞬間を
窓の先
「凛、練習始まるよ」
「あ、うん!今行く」
道場から見える体育館
大きく開かれた窓からは、バスケットボールが響く音がする。
思わずそちらをボーっと見てしまうのは、これは私の癖だ。
「こら、坂倉整列だぞ」
主将にそう言われ、慌てて竹刀を持って列へと並ぶ。
私は剣道部に所属している一年の坂倉凛
剣道は中学から始めたから、かれこれ四年目だ。
そして高校に入って三ヶ月、季節は春から夏へと変わり7月に入ると一気に暑さを増す。
「凛、また体育館見てたでしょ。好きな人でも出来たの?」
列へ並ぶと隣に立っていた友達の沙優(さゆ)ちゃんがそう言ってニヤリと小さく笑う。
沙優ちゃんは高校からの友達で、クラスも部活も同じでいつも一緒に過ごしている。
美人で頭も良い沙優ちゃんは、学年でも人気で入学をしてからすでに何人もから告白をされているほどのモテっぷりだ。
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