強引な政略結婚が甘い理由~御曹司は年下妻が愛おしすぎて手放せない~
きっかけ



「それにしても、すごい雨ね。こんな土砂降りの中を歩いて帰っていたら、たとえ傘をさしていたとしても全身がずぶ濡れになりそう」

「そうならずにすんでよかったな」

「ええ、本当。送ってくれてありがとう。助かったわ」

「通り道だし、気にするな」

激しく降る雨の中、俺は車を走らせる。

向かう先は、助手席に座っている優愛の自宅マンション。

「ねぇ。そういえば、付き合い初めの頃、こうして真夜の車に乗っていたら週刊紙の記者に撮られて、雑誌に載ったわよね」

「ああ。あったな、そんなこと」

「懐かしい」

そう言って、優愛はクスッと笑った。


モデルの仕事をしている優愛とは三年ほど交際をしていた。

付き合うきっかけは共通の友人の紹介で、その後、優愛から熱烈なアプローチを受けて交際が始まった。

俺としてはそれなりに順調に交際を続けていたつもりだったけれど、昨年の夏頃、優愛から突然別れを告げられた。

理由は、俺よりも仕事に集中したかったかららしい。

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