強引な政略結婚が甘い理由~御曹司は年下妻が愛おしすぎて手放せない~



「明ちゃん、ごめんなさい」

アパートに着いて、インターホンを鳴らしてから玄関を開けると、泣きながら晴斗君が私にかけよってきた。

「明ちゃんの大事なお財布取ってごめんなさい」

「大丈夫だよ、晴斗君」

私の足にぎゅっとしがみついて泣いている晴斗君の髪を優しく撫でる。

「いけないことしちゃったって分かればいいんだよ」

「うん、ごめんなさい。明ちゃん怒ってない?」

「怒ってないよ。でも、もうこんなことしたらだめだよ」

「しない。絶対に絶対にしない。だからまた遊んでくれる?」

「もちろん」

そう微笑んだら、晴斗君も安心したように笑った。

すると、傍らで申し訳なさそうな表情を浮かべている志穂さんが、手に持っている財布を私にそっと手渡す。

「これ、明ちゃんのお財布」

「ありがとうございます」

「本当にごめんなさい、明ちゃん。私がちゃんと晴斗のことを見ていなかったのがいけなかったわ」

「いえ、本当にもう大丈夫なので」

お腹にもよくないだろうし、あまり気にして思い詰めないでほしい。

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