強引な政略結婚が甘い理由~御曹司は年下妻が愛おしすぎて手放せない~
ずっと一緒に




『待って、真夜』


明は忘れてしまったけれど、俺は今でもあの日のことを鮮明に覚えている。


――七年前。


バリへ発つ俺を追いかけて、明が空港までやって来た。

見送りになんて行かないと言っていたはずなのに。

明は、瞳に涙をたくさんためて駆け寄ってくると、勢いよく俺の胸に飛び込んできた。

『見送りに来てくれたのか?』

そう問い掛けると、明は頭を大きく振った。

『違う。……お土産、欲しいもの言うの忘れたから、伝えにきただけ』

『なんだそれ』

もちろん、そんなことは嘘だとすぐに気が付いた。

見送りに来ないと言っていたはずの明が、俺を追い掛けてここにくるための口実だって。でも、俺はその嘘に乗ることにした。

『それで、わざわざ伝えにくるほど欲しいお土産って?』

『……』

『もしかして、めちゃくちゃ高いものねだるつもりじゃないだろうな』

『……』

何を言っても明は無言のまま、ただ俺に抱き付いていた。

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