強引な政略結婚が甘い理由~御曹司は年下妻が愛おしすぎて手放せない~
「優愛の元カレって明さんの旦那さんだったんですか?」

「うん……。はっきりと名前を言われたわけじゃないんだけど。それとなく聞いてみたら、真夜の元カノはモデルで、年齢も優愛さんと同じ三十一歳。交際期間も三年だって言ってたから、やっぱりそうだと思う」

ああ~どうしよう、と私は両手で顔を覆った。

「二人が別れた原因が私だとしたら……」

私との結婚が決まったから、真夜は優愛さんと別れるしかなかった。

本当は、まだ二人は愛し合っていたはずなのに、私が仲を引き裂いてしまった。

もしもそうだとしたら、二人にとって私は邪魔者だ。

「落ち着いてくださいよ、明さん。まだそうと決まったわけじゃないですから」

千華ちゃんが励ますように声を掛けてくれる。

「旦那さんと優愛が分かれた理由は明さんじゃなくて他にあるかもしれないし」

「他って?」

「それは分かりませんけど……。でも、今の優愛の活躍を見ている限りでは、失恋を引きずっている様子は微塵もないし。たぶん何か理由があって、二人で話し合って納得してから別れたんですよ。で、そのあと旦那さんは明さんと結婚することになったんじゃないですか。たぶんですけどね」

「そうなのかな……」

気になるなら真夜に直接聞くのが本当はいいんだろうけど、そこまで踏み込んで聞くことができない。

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