強引な政略結婚が甘い理由~御曹司は年下妻が愛おしすぎて手放せない~
寂しい気持ち



「たくさん食べましたね」

十一時半のスタートから制限時間の二時間が経過すると、私と千華ちゃんはビュッフェ会場のレストランを後にした。

エレベーターで下の階まで降りてロビーを歩きながら、千華ちゃんが満足そうにお腹をさする。

全種類の料理はさすがに食べられなかったけれど、半分は制覇したと思うくらい千華ちゃんはよく食べていた。

「本当に美味しかったです。明さん、誘っていただいてありがとうございました」

千華ちゃんが丁寧に頭を下げる。

「喜んでもらえてよかった。また一緒に行こうね」

「はい! あっ、でも、次にここの料理を食べるのは私の結婚式のときにします」

「それじゃあそのときは私も招待してね」

「もちろんです。なので、明さん。旦那さんに頼んで結婚式の費用を少し値引きしてもらえませんか」

「うーん。それはどうだろうね」

「やっぱりダメですよね~」

そう言って、千華ちゃんは恥ずかしそうにヘヘッと笑った。


それから、彼氏が車で迎えに来ているという千華ちゃんとはロビーで別れて、私は一人でこれからの予定を考える。

さっきは前を通り過ぎるだけだったけれど、せっかくここまで来たから保しなの支店に顔を出してみようかな。

店主を務めているいとこの光輝君とも久しぶりに話がしたいし。

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