新妻はエリート外科医に愛されまくり
結婚。幸せの絶頂に暗雲
爽やかな秋晴れに恵まれた、十月の土曜日。
日本では縁起担ぎで、多くの人が人生の門出の日に選ぶ、大安吉日。
私は、今日、結婚式を挙げた。


ここは東京のアクアフロント、お台場にある超高級ホテルのチャペル。
ドアが両側に開いた途端、視界をパアッと薄紅色に染めたライスシャワーが、ひらひらと宙を舞って地面に落ちる。


チャペルの前には、鮮やかな庭園が広がっている。
このホテルの売りでもある、色とりどりの花々が咲き誇るヨーロピアンガーデンに、参列者たちが待ち構えていた。


「おめでとう! 葉月(はづき)、とっても綺麗……!」

各務(かがみ)、幸せにな〜!!」


昔からの友人たちが、口々に祝ってくれる中。
純白のウェディングドレスに身を包んだ私を、スマートにエスコートしてくれる彼を見上げた。
彼……各務颯斗(はやと)も、同じタイミングで私を見下ろしていて、宙で視線が絡み合う。
私たちは、思わず「ふふっ」と笑い合った。
と、そこに。


「各務ー! 浮気すんなよ〜!」


からかい混じりの声がして、私たちを囲んだ人たちが、ドッと笑う。
どうやら、今のは、颯斗の中学時代の悪友のようだ。


彼はその方向に顔を向けて、「しねーよ、バーカ!」と苦笑いで返している。
結婚式の主役、新郎の一言が、さらに参列者たちの笑いを取った。
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