新妻はエリート外科医に愛されまくり
日本からの弾丸訪問者
今年初めて、気温が十度を下回った十一月下旬。
日本の美奈ちゃんから、メールをもらった。


『葉月さん、こんにちは! ご結婚からちょうど一ヵ月ですね。新婚生活、いかがですか?』


東都大学医学部心臓外科医局の医療事務職員の彼女は、私より三つ年下の二十七歳。
明るくて素直で可愛くて、医局でもマスコットのような存在だった。


先々週、医局に宛てて、結婚式出席のお礼を送っていた。
それに対するお礼のメールだった。


『お送りいただいたフィラデルフィアのお菓子、医局のみんなで美味しくいただきました。ありがとうございます!』


文面からも滲み出るはしゃいだ空気に、文字を目で追う私まで、知らず知らずのうちに顔を綻ばせていた。
日本で一緒に働いていた頃の記憶が、脳裏を過ぎる。


いろいろ、プライベートのことも話した間柄だ。
今は専業主婦になった私だけど、仕事は楽しかった。
私が颯斗と一緒に渡米して、急に仕事を辞める形になって、本当にたくさんの迷惑をかけてしまったけれど……。


『十二月第一週目の土曜日、ニューヨークで開催される国際医療シンポジウムに、木山先生がご出席されるんですが……。なんと! それに私が同行させていただくことになりまして』

「……へ?」


私は思わず、スマホを持つ手に身を乗り出した。


『ニューヨークとフィラデルフィア、結構近いですよね? なので、木山先生と一緒に、お二人に会いに行きたいな~って言ってます。ご都合、いかがですか?』


――……えええっ!?
< 104 / 188 >

この作品をシェア

pagetop