新妻はエリート外科医に愛されまくり
「ハヅキ」

「本当は私だって。私だって……」


膝の上で両手を固く握りしめ、うなだれる。


「……子供ができない原因は自分にあるから、ハヤトに内緒で治療して克服できるなら……って。子供のことを考えないっていうのは、そのための時間稼ぎってこと?」


静かに、宥めるような質問をかけられ、私は喉に声を詰まらせた。
黙ったまま、一度だけ小さく頷いて見せる。


「彼の、悲しそうに辛く歪む顔は、一度だって見たくないんです。だから、私一人で挑めることなら、無駄に心配かけたくない……」


最後は肩も声も震わせて、俯いた。
メグさんは口を噤んで、ズッと洟を啜る私をジッと見つめていたけれど。


「わかったわ。それなら私も、ハヤトの耳に入らないよう、協力する。レイにも黙ってるから」


諭すような言葉を聞いて、そっと目線を上げた。
泣きべそで歪んだ顔の私に、彼女は目尻を下げて苦笑する。


「ほらほら、いい大人が泣かないの。せっかく綺麗な顔が台無しよ」


明るくトーンを転じた声で揶揄して、ハンカチを差し出してくれた。


「メグ、さん」

「私、ちょうど来週、検診に行くの。紹介してあげるから、ハヅキも一緒にいらっしゃい」

「え? でも。メグさんって、どちらの病院に……」
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