君のとなり。
横断歩道の信号が変わるのを
ぼんやりしながら待っていると、
すぐ横のバス停にバスが止まって
夢葉が降りてきた。

「おはよ、夢葉。」

声をかけると、彼女は手を振りながら
こちらに歩いてくる。

「おはよ~。」

このままだと、なんとなくの流れで
一緒に教室まで歩いていく
ってことになりそうだ。

ここは挨拶だけしてサッと
早足で歩いていくべきかな。

なんて考えていると、

「今日、数学あるよね。嫌だなぁ。」

夢葉の方から話しかけられて驚いた。

向こうから話しかけてくるなんて
そんなの計算外だ。

「ん、そうだね。私も嫌かも。
午後はご飯の直後に体育だし。」

「キツいよね!あーあ、憂鬱だ。」

他愛のない会話。

平和な日常。

これが私の望んでいたもの。

そんな風に思えて少し嬉しくなる。
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