美髪のシンデレラ~眼鏡王子は狙った獲物は逃がさない~

ラブ2号

「お、おはようございます」

柔らかな感触を口元に感じて目を開けると、端正な顔の男性が至近距離で見つめていた。

「おはよう、瑠花は寝顔も可愛いな。もちろん寝起きの顔も」

甘い言葉を重ねるこの男は本当に、あのトライアル男子もといツンツンデレ甘イケメン王子ならぬ冷徹イケメン眼鏡御曹司の穂積部長なのだろうか?

見たこともないうっとりした優しい表情で微笑まれても、瑠花は動揺するしかない。

これまで、大好きな人と結ばれた翌朝のシチュエーションを夢想したことはあったが所詮は想像、ショボいものだ。

実際、こうしてお互い裸で横たわっていることが、こんなに生々しくて恥ずかしいとは思わなかった。

「身体は平気か?」

更に生々しい質問に瑠花は思わず掛布で胸元を隠しながら真っ赤になる。

この男はどこまでが素で、どこまでが擬態なのか測りかねるから困る。

「へえ、瑠花の瞳はヘーゼルと薄いブルーグレイの虹彩なんだな。とても綺麗だ」

まるで今まで気にもとめていなかったかのように呟く朔也に、瑠花は目を見張った。

「ぶ、朔也さんはこの目が気持ち悪くないんですか?」

「愚問だな?俺は瑠花が持っているもの全てが愛しいんだ。気持ち悪い部分なんて1つもない」

そう囁く朔也の顔は真剣で、嘘をついているようには見えなかった。

「それに良くみてごらん?俺の目も左右で少し色が違うんだ」

言われるがままに朔也に近づき、顔がくっつきそうな距離で瞳を除き込む瑠花。

゛言われてみれば、右目の方が左目よりもブラウン色が薄いような・・・゛

二人の秘密の共通点を見つけたようで、自然に顔が綻ぶ。

「瑠花、そんな色っぽい姿で俺を誘惑するなんて悪い子だ。俺の見立てに合わないグラマラスな姿態・・・君は意外性の塊だな」

゛見立てとは・・・?゛

瑠花は床に落ちている下着を見て、昨日朔也が準備してくれていたブラのことを言っているのだと気づき慌てて胸元を隠した。

「もう手遅れだ。臨戦態勢に入った俺を鎮められるのはお前しかいない・・・」

朔也の話す日本語が異国の言葉にしか聞こえない瑠花であったが、状況を把握せぬまま、あれよあれよと第二ラウンドへ引摺りこまれることになった・・・。

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