美髪のシンデレラ~眼鏡王子は狙った獲物は逃がさない~

逆恨み

「結局、狭間の犬で終わるんだな」

「うるさい。なんと言われようとお前にだけは屈しない」

朔也の言葉に、但馬が悔しげに吐き捨てた。

但馬は朔也の同期だった。

他の同期は、雅樹や心晴をはじめとして、優秀で華やかなメンバーが多かった。

そんな中で異質な存在だったのが、この男、但馬だ。

但馬は、完全なる理系脳・・・に見える見た目に反して完全なる文系脳だった。

愛想がないので営業はできない、研究開発を先導する知識も技術もない。

ただ、文章をまとめたり、まとめられた結果を分かりやすく校正することは得意だったので、狭間に見い出されて、研究開発課の研究員の補佐役に任命された。

穂積ソワンデシュヴに採用される研究員は優秀な者が多いのだが、どんなに頑張っても功績を狭間に横取りされて潰される。

実情を知った人事部が、そんな被害者達を救おうと動いても、皆、弱味を握られたり脅されたりするなどして辞めていくため、証拠不十分となり実力行使に出ることができなかったのである。

そんな狭間のもとでメキメキと頭角を現したのが但馬である。

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