美髪のシンデレラ~眼鏡王子は狙った獲物は逃がさない~
今開発しているのは、ダメージケアをうたったやや高級路線のヘアケア商品。

いわゆる各社が゛super rich゛とか゛extra゛とかいう冠を付けたがるやつだ。

ターゲットをどの年代、性別に絞るかでも内容が変わってくる。

今回は20代から30代の女性をターゲットにすると本社が打ち出してきた。

瑠花はほぼ完成しかけのこのシャンプーとコンディショナーに関しては、洗い上がりの髪の手触りと匂いが納得できていない。

瑠花は、時間の許す限り、納得いくまで何度でも改良を重ねるつもりでいた。

「三神主任、会議の時間だ」

そんな瑠花を我に返らせたのは、あの俺様冷徹王子、穂積部長だった。

時計を見れば、14時55分。

会議まであと5分となっている。

「申し訳ありません。すぐに行きます」

社会人として、5分前行動は基本中の基本だ。

以前、友人の家に泊まりに行ったときに、約束の時間の1時間後が本当の約束の時間と聞かされ、実際そのウチナータイムを現地で体験して驚いたことがあるが、ここは沖縄ではない。

遅刻も゛なんくるないさー゛も許されないのだ。

瑠花は、わざわざ声を掛けに来てくれた俺様部長に、少しだけ感謝をした。

とはいえ、ほんの少しだけど・・・。
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