美髪のシンデレラ~眼鏡王子は狙った獲物は逃がさない~
「まあ、何て言うかさあ、そんな全く手掛かりのない一目見ただけの女の子をしつこく探してどうするわけ?」

必死になって゛美髪の少女゛を探し始めた朔也を、高校時代からの友人である橋沼雅樹は驚きながらも感慨深い目で見ていた。

クールな美貌の持ち主。

成績も良く、おまけに有名企業の御曹司とくれば目の色を変えて突進してくる女学生、女子社員も多数いた。

そんな朔也にアタックして撃沈した面々を知っているだけに、雅樹は意外な方向に興味を向ける朔也に驚きを隠せなかった。

「お前がロリコンだったなんて知らなかったよ」

「別に付き合いたいとかやましい気持ちじゃない。ただ、あんなに情熱的に穂積のヘアケア商品に愛情を向ける彼女に興味があるだけだ」

エッフェル塔を眺めるマンションの一室で、フランス語の辞書を片手にパソコンと向き合う朔也。

「それに・・・」

キーボードを打つ手を止めた朔也が

「俺は公務員でも教職でもない・・・。未成年が相手でも問題はないはずた」

と呟く。

「本気モードかよ。なんか楽しいな」

ハハハと笑う雅樹に一瞥もくれずにキーボードを叩く朔也は、一刻も早くノルマを果たして日本に帰ることだけを考えていた。

「美髪のシンデレラか~、王子様は待ってるだけじゃなくてこんなにも必死になってるのに、どこに隠れているんだか」

からかい口調の雅樹だが、本当は早く彼女が自分達の目の前に現れてほしいと心から思っていた。

無口なロボットのような親友が、彼女に再会した時のリアクションを見て、散々いじり倒したいがために・・・。
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