美髪のシンデレラ~眼鏡王子は狙った獲物は逃がさない~
「まさかお前が探していたシンデレラが瑠花ちゃんだったなんてな~。灯台もと暗しってこの事か」

「お前があいつの名前を呼ぶな」

じろり、とにらむ朔也の肩を再度引き寄せた雅樹は

「俺の方がお前よりも信頼されてるし、彼女のこともある程度知ってるんだけど」

と、冷やかし気味に笑った。

雅樹と朔也は高校と大学の同級生。

雅樹が、朔也の父親の会社である穂積ソワンデシュヴを選んだ理由は゛朔也と一緒なら仕事も面白そうだから゛というただそれだけだ。

「まあ、仕事はそれなりに面白いけどさ、本音はクソ真面目な朔也の浮いた話を弄れなくてつまんなかったんだよね。まあ、これからは今までの分も存分に楽しませてもらうよ」

そう言って笑う雅樹が、この研究開発課の課長になったのはこの春から。

雅樹もそれまでは本社の営業部にいた。

しかし、社長の

「管理職も゛開発者の苦労を知るべき゛だ」

という一言から雅樹の異動が発令されたのだ。

そうして瑠花の上司になった雅樹から、゛瑠花が朔也のシンデレラなのではないか゛と情報提供をされ、半信半疑の朔也がこの研究室を視察したことで彼女の存在を知るところとなったのだ。

彼女を見た朔也は確信した。

彼女こそ朔也が探していた゛美髪のシンデレラ゛なのだと。
< 5 / 164 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop