美髪のシンデレラ～眼鏡王子は狙った獲物は逃がさない～

小学校、中学校に進学する頃になると、周囲の差別的な言動・態度は更に顕著になった。

『わあ、瑠花ちゃんの目、きれいね』

『どうして私達とは違うの？』

純粋だった幼児期の発言とは違い、

自我が芽生えた子供が示す悪意は容赦ない。

あからさまな嫌悪や暴言を享受しなければならない場面は数えきれない程あった。

いつの間にか卑屈になっていた瑠花は誰にも心を開かなくなっていった。

友達も作れず、学校が終わると引きこもる生活を続けていた。

カラーコンタクトが市場に溢れるようになった中学生の頃、ブラウンのカラーコンタクトをつけて通学してはダメか？と先生に相談したことがある。

しかし、閉鎖的な日本の学校では、カラーコンタクトは校則で禁止されているからと一笑され相手にもしてもらえなかった。

落ち込む瑠花を見かねた両親は、高校進学を期に、瑠花をアメリカンスクールに入学させた。

日本人だらけの高校よりも、多民族が所属するアメリカンスクールならば、と考えてくれたのだろう。

しかし、多国籍文化の国でも、いまだにアジア人や黒人に対する根強い差別は存在する。

瑠花はイギリスとギリシャ、日本のミックスド（混血）というだけではなく、オッドアイの持ち主だ。

日本人なら人口の0.01％、世界でも0.06％と希少な存在。

そんな瑠花を差別ではなく、純粋に友人としての興味を示してくれる友人はいない。

幸い、アメリカンスクールではカラーコンタクトを禁止はしていなかった。

入学式の日からカラコンをつけていれば良かったのだろうが、もしかしたらありのままの自分を受け入れてもらえるのではないかと期待していた瑠花は完全にカラコンをつけるタイミングを逸してしまった。

オッドアイの存在がばれた後にカラコンをつけてしまえば余計に周囲の興味や関心を引いてしまう。

日本の中学校と変わらない状況にため息をついた瑠花だったが、入学式の初日に運命の出会いを果たすことになる。