美髪のシンデレラ~眼鏡王子は狙った獲物は逃がさない~

休日の過ごし方

翌日、土曜日の午前9時。

前日の20時から惰眠を貪っていた瑠花は、突然のインターホンの呼び出し音で目が覚めた。

通販や宅配は頼んでいない。

両親はイギリスで暮らしており、帰国予定も聞いていない。

親しい友人は皆、瑠花の住む地域からは離れたところに住んでいるし、訪問予定も連絡はない。

寝ぼけていた瑠花は、訪問販売か宗教の勧誘だろうと決めつけ、徹底的に呼び出しを無視するべく布団に潜り込んだ。

しかし、敵もさる者。

なかなか諦めようとはしない。

だが、ようやく留守だと理解(いや、居留守だが)したのか、10分足らずでしつこく鳴り続ける呼び出し音が止んだ。

あまりのしつこさに、すっかり目が覚めてしまった瑠花だったが、ようやく鳴り止んだインターホンに安堵してコーヒーを入れるために台所へ向かった。

しかし、安心したのも束の間、今度はスマートフォンの電話が鳴り始めた。

画面には知らない番号。

フリーダイヤルでも、固定電話でもない、携帯電話の番号。

瑠花は決して知らない番号からの電話は取らない。

以前、しつこい悪徳商法とオレオレ詐欺の電話に絡まれてひどい目にあったことがあるからだ。

瑠花は、すかさず着信中の番号を着信拒否設定し電話を切った。

゛これでもう電話は鳴るまい゛と思ったのもむなしく、今度は別の番号からの着信が表示された。

それは・・・瑠花の直属の上司、橋沼課長からの電話だった。
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