初恋エモ





「まじすか。この日のメンツ、結構やばくないすか?」


バンドとしての初ライブが11月に決まった。


「全然いけるよ。だって面白いじゃん。このバンド」


タバコの煙を吐き出し、ニコニコと私たちを見つめる葉山さん。

スクリーミングのコネを使って、人気バンドとの対バンイベントへのブッキングを決めてくれた。


出番は30分間。だいたい5曲はできる。

まだオリジナル曲は2曲しかできていない。ライブまでにあと1曲を完成させ、残りはコピー曲をすることに。


「バンド名はどうするんですか?」

「葉山さんと話してたけど、とりあえず『透明ガール』で」

「おー。……って、えええ?」


それは私の元Twitterアカウント名じゃないですか!

今は『ミト』に直したけど。


「ほら休憩終わるぞー」


慌てる間もなく、クノさんを追ってスタジオに戻った。


バンド『透明ガール』は順調にスタートした。


葉山さんがドラムでビートを引っ張り、クノさんの荒々しいギターと突き抜けた歌声が曲を彩る。


「ベース! もっとドラムに合わせろよ!」

「は、はいぃ」


クノさんはさらにスパルタ度を増している。

私は……ついていくので精一杯だ。


そして、

「今日のスタジオ代は、一人千円ずつで。あとお前、ベースの弦そろそろ変えとけよ」

スタジオ代、ピックやシールドなどの小物代、ベースのメンテナンス代などもろもろ……。

お金もどんどん出て行く。


バンド活動をしていることが母にバレないよう、バイトも頑張らなきゃ。

ちなみにベースを買ったため母の車検代を払えなくなり、少しだけクノさんにお金を借りた。借金も返さなきゃ。とほほ。


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