横顔がスキ 〜とある兄妹の恋の話〜
「ここに駐車よかったんですか?」

事務局員さんにたずねた。

「本当はいけないんだけどね」

苦笑いしてる。

「校門前に車停まってるのを見つけてね、
 じゃまだって言いに行ったんだけど・・・
 妹を待ってるって言うもんだし、
 そんな場所にいちゃ、熱中症になるって
 ちょうど駐車場が空いてたから
 移動してもらったよ」

「ホント暑くて死にそうだったんッスよ」

「そんな場所で倒れられても
 こっちはかなわんからね」


確かに柊にぃは汗だくだ。

片手に持ったスポーツドリンクを
口に含む。

「拭く?」
さっき使ったタオルを差し出す。

「サンキュ♪」

柊にぃは洗いざらしの
ハットを脱いで汗をぬぐう。

くしゃくしゃでウェーブが掛かった
髪から汗がしたたり落ちる。


「しかしなつかしいねぇ。
このビートル、ワタシも若い頃乗ってたんだ」

事務局員さんが好意的な理由は
そこにあったのか。

「ワタシはヒッピーだった。
 君はヒッピーかね?」

「さぁ? でも気持ちは
 ラブ&ピースです」

柊にぃはにっこり答えた。
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