年上ダーリン、猫系につき溺愛中
ダイ好き




あと9年早く生まれていたらわたしはきみと同じ27歳で、お互い年の差故の焦りや不安もなくて、きみにまるで「好きにさせてしまった事」に対して責任をとらせるようにプロポーズさせてしまう事もなかったんじゃないのかな。


交際期間0日、中学を卒業すると共に体育教師だった深沢恭平(ふかざわきょうへい)と結婚した。もう3年前の話だから比例して、24だった恭平は27に、15だったわたしは18になろうとしていた。


恭平でしか埋められない席を、
恭平以外で埋める努力がどうしてもできなかったの。




「恭ちゃん塾終わったかなあー」


ずり落ちてきた工事用ヘルメットを持ち上げながら、掻いた汗を軍手付の手で拭ったら隣で作業していた御園昴(みそのすばる)ことミソ太が「鼻の頭黒くなってんぞ」と楽しそうにゲラゲラ。


「おまえは本当に恭平さんの事好きな」と朝日侑希(あさひゆき)ことユッキー。どちらも19歳。

わたし、深沢湊(ふかざわみなと)。
……大好きな人の手の中から職を奪った18歳。



「今日も恭平さん迎えに来んの?」

「うん」

「別に毎日来なくてもオレか朝日が送るのになー」

「おれは送らないけどな」

「恭ちゃんが嫌って言うんだよ」

「おれは送らないけどな」

「特に彼女いないほうのミソ太ね」

「聞いてる? おれの話」



なあなあ、って作業をサボり出したユッキーには交際3年目の彼女がいるから恭ちゃんの眼下からは排除されている(らしい)ものの、彼女なしのミソ太は恭ちゃんに完全に目の敵にされている。

まあ、ミソ太には(噂によると)めっちゃ可愛い好きな人がいるんだけど。



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