蛍火に揺れる

(何々?えっと、向こうの方の駅に来れる?って…まぁ大丈夫だけど…)


十分前、ノリ君から着信と共にメッセージが来ていた。
いつも使う別路線の駅ー徒歩十五分程の駅に来れないか?というもの。
まぁ特に行けない理由もないので、私はバッグにその出来立てのヘアバンドも押し込んで、家を出ることにした。


*****

「沙絵ちゃんー!こっち!」

駅に着くと、改札の近くにノリ君がいた。
私は若干駆け足で、そっちの方向に。
そして柵の後ろー改札内には、何だか見覚えがある人物も。

「沙絵ちゃん、沙絵ちゃんの後任の石見君」
そう言われて、その見覚えのある彼は頭を下げる。そうか、会社の人だったか。

「伊藤さんー!本当にマーケティング部めっちゃめちゃなんですけど!」

石見君は柵越しに私の服の袖を掴んで、優しく揺らした。

「もう本当に……仕事量やばいっすよ……」

「大丈夫だって!ね!コツコツやってけば大丈夫だから」

嘆く石見君を、ノリ君は優しく肩を叩いて励ましている。
なんなんだ、この状況は…。
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