蛍火に揺れる

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三年前。二月のある日の昼休み。

私はとある企業に勤めていた。
双葉都市開発という、そこそこ大手のデベッロッパー。
企業としての知名度はイマイチかも知れないが『あの場所を手がけた』と言えば『あぁー』と言われるぐらいの、規模の大きい仕事もしている企業。ちなみに双葉グループは名の知れたグループの会社である。

私は短大を卒業し、そこのマーケティング部に席を置いていた。
私の旧姓は伊藤(いとう)で、まぁありふれている苗字だが『マーケティング部の伊藤』と言えば『あぁー』と言われるぐらいの当たり障りのない存在。


会社は新宿の大きなビルの中にあって、そのビルの中にはテナントの人御用達の食堂があった。
うちの会社の人達の、ほとんどがそこで昼食を取っている場所だ。


「沙絵ー!取っておいたよ!」

おぼんを持ってうろうろしていると、さっき別れたハルさんが私を呼んでいる。

ハルさんは私の同期。佐々木春海(ささきはるみ)と言って私と仲良くさせてもらっている人物。
ハルさんは、昔営業部での事務担当だったが今は経理部に所属している人。
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