蛍火に揺れる
「それで…これが噂の伊藤沙絵。江浪君の彼女」

「何か…もうちょっと他にいい紹介方法ないの?」

「他に何かいる?」

「ちょっとひどいよハルさん!」

そんないつものハルさんとのやり取りを、その菅原さんは笑顔で見ている。
良かった、悪い子じゃなさそうだ。

「それで菅原さん、新卒ってことは二十三歳?」

「いえ、早生まれなんで二十二歳になったばっかりなんです」

「大学、何部だったの?」

「経済学部でした」

「へぇ、何かサークルとかやってた?」

「二年まで映研のサークル入ってました」

「じゃあ映画好きなんだ」

「はい」

嫌がられそうな質問の嵐にも、嫌な顔一つもせずに答える彼女。
これは…あれだな。年上受けは抜群だな。


そのままいくつか会話をした後、「午後からの研修行っておいで」とハルさんが急かして菅原さんは退場していった。
私にもペコリと頭を下げて手も振りながら。思わず頬が緩む。
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