蛍火に揺れる
ノリ君はニコニコしながら私達に話しかける。


「何か二人、顔が暗いですけど何かありました?」

「あのねー江浪君、沙絵が彼氏と別れたって話」

「ちょ!言わなくていいじゃない!!」

私はハルさんを揺さぶる。何を言ってくれてるんだと。
しかし彼は意外とー「良かった」と呟いた。

「良かったって何が?!」

「いや、僕気に入らなかったんですよ。何か高級そうな物強請って、わがままそうだったから」

気に入らないって何であなたが言うのか。
眉間に皺がピクピクと寄り始める。

そんな怒りが溜って行く私に対して、彼はにこやかな笑顔でこう言った。



「これで堂々と告白できます。伊藤さん、僕と付き合ってください」



時間は昼休み半ば過ぎ。人がごった返す食堂。
うちの会社の人達が、一斉にこちらに注目している。


告白している人物は、六期も下の元部下。
エリートで人望があるし、青田買いだと狙う女性も数多い。

そんな彼に付き合ってと言われているこの状況は……

「詐欺かしら?江浪君」

「何でそうなるんですか!?」

< 6 / 153 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop