かすみ草揺らぐ頃 続く物語 ~柚実16歳~
 それなのに。
 それなのに、大好きな純に大きく踏み込むこともなく、香花ちゃんに奪われてしまった。
 純の場合、バンドが一番のひとだから、ちょっと歌詞の書ける私の傍にいてくれたのか。
 私が、音楽を紡ぎ出す彼のあたまの中を覗いてみたいと思うのと同じで。
 私の書くものにしか興味を示していなかったんじゃないか。
 独りぼっちの放課後。
 私は、独りの教室で頬杖ついて、ぼんやりとしていた。
 後ろの席は、純の席。
< 108 / 400 >

この作品をシェア

pagetop