かすみ草揺らぐ頃 続く物語 ~柚実16歳~
 うちは、母ひとり子ひとりの生活だった。
 それなのに、広い一軒家に住み、住宅ローンもあるのだかないんだか、よく解らないままに、それなりに暮らしていた。
 父親の話も聞いたことがないし、記憶にもない。
 きっと、いつかは総てを話してくれる日が来るのだろう、と。
 黒沢柚実、16歳、高校2年生は思っていた。
「今日のメニューは、ハッシュドビーフ」
「出た。手抜き料理」
 母の言う通り、確かに手抜きだった。
 カレーは、玉ねぎ、ジャガイモ、ニンジンを切らなきゃいけないけど。
 ハッシュドビーフは、肉と玉ねぎを入れて、後はルウを淹れるだけでできる。
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