かすみ草揺らぐ頃 続く物語 ~柚実16歳~
運よく、1限目のHRの時間は、担任の高野先生が車の渋滞で遅刻のお陰で、自習だった。
私はそれをいいことに、ぐーすかと机につっぷして眠りこけていた。
 不意に、つんつん、つんつん、と背中を突かれた。
 しばらくは気づかなかったけど、それはやがて肩をどんどんと叩かれるくらいまで衝動が発展したので、眠気眼で後ろを振り向いた。
「――もうすぐ、1限目終わるけど。2年時の選択教科科目、書かないの?」
 そう言ってきたのは、澤石純。
 男女混合の出席番号順で、後ろになった彼は、クラスの違った顔見知りだった。
 そういえば、まどろみに誘われる直前、新学期早々に選ばれたクラス委員から配られたプリントがあったのを思い出した。
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