かすみ草揺らぐ頃 続く物語 ~柚実16歳~
「まだつきあってなかったの? でも、何で私にそれを言うの?」
「言っておきたかったので」
「つきあうとか……それは純が決めることだわ」
 私は背もたれに寄りかかった。
 私の告白をないがしろにしたのは、もしかしたら純は香花ちゃんに魅かれ始めていたからか――そんな思いがあたまを過ぎった。
 教室で独りだった香花ちゃんを気に掛けて欲しいと言ったのは、高野先生だった。
 そしてこんな展開になってしまった。
 先生は、香花ちゃんが独りでいるのを心配していたけれど、私から純が離れていってしまう結果になったのは、思いも寄らなかっただろう。
 結局、私の方が独りになってしまった。
 そして後に彼女から告げられるようになる。
 曲の歌詞を書いて欲しいと、純から頼まれたということを。
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