かすみ草揺らぐ頃 続く物語 ~柚実16歳~
 何か空っぽだな、私。
 何もない。何もできない。何もしていない。
 こんなんで、高校2年生の夏は終わるのか。
 ふぅー、と、長く細く息を吐く。
 去年の夏は、瞬のことなど、色々忙しかった。
 感情も、生活も。
 今思えば、充実していた。
 なのに、今の私は、何だ。
 空っぽじゃないか。
 と、嘆いていた時。
 ふと、一筋の風が吹いたような気がして、はっとする。
 それはエアコンの風ではなく、実際に風ではなかった。
 音楽――歌声、だったのだ。
 私は思わず半身を起こす。
 そして、TV画面に見入った。
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