伝えたい。あなたに。"second story"
大丈夫

元気になれば

はぁ。



、、、、。




考えもしなかった。
まさか佐々木がよりによってゆうかに。




無理にでも変えてもらうべきだった。
今さらでしかないが。



深呼吸をして、ゆうかの部屋に向かう。
どんな顔をしているか、想像もできない。



それ以上に、信頼が薄れたのでは、それによって治療がうまく進められない可能性に危機感を感じた。



コンコンッ



返事はない。



ガラガラッ



『おはよう、ゆうか。』



『おはよう。』



消え入りそうな声で返事があった。
目も腫れておらず、何ごともないような顔をしている。



『1週間大丈夫だった?』



目を合わせず、うなずく。
隠そうとしているのだろうか。



『隠さなくていいんだよ。先生、広瀬先生とか看護師さんたちに話聞いたし。』



表情は変わらない。



『山瀬先生だけじゃなくて、佐々木先生にも怒られた。山瀬先生よりずっと怖かった。』




『うん。なんで怒られちゃったの?』



『採血のときも、回診のときも、なんだか下手っていうか、雑な感じっていうか、、、。力が強くて嫌だった。山瀬先生はあんな風にしないから。』



『痛かった?』



静かにうなずいた。



『採血の後具合悪くなるのも、誰でもあるから、大袈裟なんだって。

私が悪いのに、佐々木先生のせいにしちゃったから、怒られちゃったの。昨日、佐々木先生に言われてから気づいた。私なんかのせいで、先生達が悪く言われたら困るから、ちゃんとしなきゃいけないって思った。私、具合悪いって思い込んでた部分もあるかも知れないし。』




『でも、昨日はしんどかったんでしょ?それは思い込みじゃないよ。広瀬先生も見てくれたんだから。』



『違うの、私が弱いからこうなるの、あれくらい他の人はなんともないよ。怒られたくらいでいちいち苦しくなってたらだめなの。もっとしっかりしないと。』



無理やり作る笑顔に、胸が締め付けられた。



『ゆうかが悪いことも、弱いこともない。何がどれだけ大変かは人それぞれなんだから、比べられるものじゃないよ。採血の後に具合悪くなるのは、何度もされるから。他の人の時は、倒れたりしなかったでしょ?』



『そうだけど、、、。』



さらに俯く。



『1週間であったことも、その前のこともゆうかがダメだったことなんてない。一生懸命がんばれてるよ。それが先生も含めた、スタッフ達の本音だから。』



表情は暗いままだ。



『佐々木先生は、もうここの病棟にはいないし、金輪際関わることはないから。大丈夫だから。

それに、広瀬先生も看護師さんたちも、ちゃんとそばにいるから、無理せず治して行こうね。大丈夫だよ。』



背中を優しくさする。



顔はよく見えないが、手にポタポタと雫が落ちるのが見える。声も上げずに泣く姿に、どこか寂しさを感じた。



きっと、いや間違いなく、日々成長している。
自分に自信を持って生きていってほしい。



そばにいてやりたいと、改めて思った。

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