彼女は実は男で溺愛で

 女性が会議机に上半身を預け、その背後から男性が女性に覆い被さるように立っている。

 苦しそうに顔を歪める女性が男性に縋りつこうと体を起こすと、露わになっている胸が見えた。

 男性の手は女性の体を貪るように這い、体を反らし逃げようとする女性を、執拗に捕まえる。

 助けなきゃ。
 そう思うのに、足が動かない。

 男性がこちらに気づき、射抜くような視線が刺さり、息を飲む。
 三白眼の鋭い眼差し。西園龍臣。

 私に見咎められた彼は慌てるどころか、口の端を上げ、見せつけるように女性の体を弄んだ。

 手を引かれ、ハッとする。
 いつの間にか現れた悠里さんが私を抱き留め、視線を逸させてくれた。

 見たくないのに、体が固まったように動けなかった。

「上に行こう」

「でも、彼女を助けないと」

 掠れた消えそうな声で訴えると、悠里さんは頭を左右に振る。

「いいのよ。残念だけれど、同意しているだろうから」

 同意。
 その意味を飲み込めないまま、悠里さんに連れられその場を離れた。
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