彼女は実は男で溺愛で

 ベッドに入ると彼の腕の中で、私の知らない悠里さんの話を聞く。

「decipher のトレードマークになっているリボンは、史ちゃんが買ってくれたヘアピンから始まったんだよ」

「えっ。そうだったんですか。もっと前からだとばかり」

「まあ、リボンやハートをモチーフにしたものはあったけれど、どれもトレードマークになっていたわけではなくて」

 decipher らしいさが、2人が知り合ったきっかけのヘアピンからきているなんて、なんだか感慨深い気持ちになる。

「あの時、史ちゃんと可愛い小物の話をしたのは、覚えている?」

「はい。なんとなくは」

「その時に、史ちゃんが可愛過ぎると持つのが、恥ずかしいと言っていた。そこからヒントを得て」

「私、もしかして役立ちました?」

「それはもう」

 好きなショップのイメージに、自分が貢献していたと知って嬉しくなる。
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