君という名の広い空


あたしは、あははっと笑いながら、誤魔化そうとした。けど、それは結那にとっては逆効果で…。
次の瞬間、あたしはビクッと肩が震えた。

「嘘つくんじゃねーよ。あたしはねぇ…春クンが好きなの!それで、やっとの思いで…付き合えたんだよ!?それなのに…あんたは何?いつもいつも、春クンの周りをウロついてっ…!邪魔なんだよ。

消えろ!!!」

その言葉には、結那の怒りが溢れるほど満ちていた。
怖かった。
結那が…こんなにも、あたしを憎んでるんだって……消えてほしいって思ってるんだって──…

あたしは、怖くて動けなかった。
もう、誤魔化しても無駄だった。
今の結那は止められそうにもなかったから…。

「消えろっつってんだろ。春クンに手ぇ出すんじゃねーよ。」


結那は、動けなくなったあたしを力いっぱい睨んで、歩き出した。

『……。』

ホッと、少し安心した時。


ガシャンッ───…

……カチャ。

!!!!
か…ぎ?
まさか…鍵…掛けられたの?

嫌だ…。

ダンッ!ダンダンダンダンッ!
『誰かっ…誰か開けて…。うっ…ヒック…誰か…来てよぉ…。』
ダンッ……。

あたしは、泣き崩れた。
残りの力を振り絞って叩いた扉が、すごく大きく見えた。

この生徒指導室は、ほとんど使われてないし、開くとしても、明日の午後から…。

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