ハンブンコ
紅茶を飲む私に、男性はニコリと笑う。今はこの微笑みが私自身に向けられていると思うと、とっても特別な気がして男性のことを考えるよりもドキドキしちゃう。

「タルト好きが増えて、とても嬉しいです。こうやって一緒にタルトを食べるといつもよりおいしい気がします」

それから、男性と色々なことが話せた。男性は聞き上手で話し上手。だから、私も落ち着いて話すことができたと思う。

男性は、大手企業に勤めるサラリーマン。営業部に所属しているらしい。趣味はスイーツ巡りとカラオケ。名前や出身地も聞いたし、私も教えた。

半分こしたタルトがお皿からなくなっても、互いに頼んだコーヒーや紅茶がなくなっても、私たちは話し続けた。とても楽しくて、時間があっという間だ。

「あの、もしよかったら連絡先を交換しませんか?」

帰り際、男性に言われる。私は「もちろんです」と頷いた。

何でも半分こして生きていきたい。喜びも、悲しみも、幸せも、痛みも。

そんな風に思える人と、今日出会った。
< 8 / 9 >

この作品をシェア

pagetop