BLUE
しばらくすると、携帯が鳴った。

「ごめん、修ちゃん今どんな服着てる?大人になったの忘れてた。」

彼女の言葉に、僕は思わず笑ってしまった。

そうだった。

僕らは2年も一緒に過ごしてきたのに、お互いの顔も姿もわからないのだ。

「黒いジャケットとジーンズ。あとは・・・。」

「え!?なに? 周りがうるさくて・・・。」

あたりを見回しながら話していたその時、2,3メートル前で電話と同じ言葉を口にしている女の子がいることに気がついた。

しかし

彼女は僕が思い出せるあの姿ではなかった。

僕は電話を切った。

「・・・切れちゃった。」

彼女の唇がそう言う。

・・・みつけた・・・。

あんなに騒がしかった人の声が、いつの間にか聞こえなくなっていた。
どうしても、その時すぐに彼女に声をかける気にはなれなかった。

眉を微かに寄せた彼女に
僕はしばらく見とれていた。
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