リベンジ学園
生神は人間の脳というものに価値を見出だし、脳さえ死ななければ人は死なないと定義した。



人は物事を考え、未来を選択し、自分の意思で行動する。



それらのことは脳がすべて判断し、その人の肉体に指令を下しているのだ。



そこで生神は真剣に考えた。



たとえ死に至るようなケガをしても、人が死なない方法はないだろうかと。



もしも人間の脳が強く生きることを望んだら、人は激痛を克服し、体を動かし続けることができるだろうかと。



生神はそんな自分の考えに夢中になり、脳を活性化させ、肉体の苦痛にも耐えうる薬の研究に没頭した。



人間の脳にはまだ発見されていないたくさんの可能性があると信じて。



生神は自分の発想を実現させるために試験薬を何度も作り、それを少女Aの体に注入した。



少女Aがすべての痛みに耐えて、それでもなお生き続ける姿を見たくて。



一馬はそんな生神の助手を務め、試験薬が入った注射を少女Aの腕に射つと、激痛に鈍感になっている少女Aに何度も拷問を繰り返した。



その実験のせいで一馬は人の不幸に鈍感になり、人間らしい心の一部を失った。



一馬は生神が指示するままに、少女Aの耳をそぎ、目をえぐり、手足の骨を砕いた。



それでも少女は死ぬことなく、また食料を求めて、生きようとしているのは生神が開発した薬のすごさと言えるだろう。



でも、ボロボロに体を傷つけられてもなお、生命活動を止めようとしない少女Aはまるでゾンビだ。



ある日、一馬が生神の指示の通りに少女Aの腹を斬り、飛び出してきた腸をちぎっても、少女Aは死なずに普通に生命活動を続けていた。



それを見た生神は科学の力を誇ったが、一馬は何を目的にしているかわからないその実験に強い疑問を抱いていた。



生神亮治は人間をゾンビにしたいのだろうか?



あんなにもおぞましい実験のどこに意味があるのだろうか? と。



三ヶ月後、生神によって命を授かった百体の少女Aは生神による拷問の指示のせいで、全員が死んでしまった。



生神は命を作るが、それと同じくらいに人の命を奪っていく。



そんな生神はまるで悪魔か死神だ。



生神亮治の才能に憧れて生神の研究所に来た一馬だったが、いつの日からか一馬は、生神のサイコパスぶりを心の中で憎むようになっていた。
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