訳あり冷徹社長はただの優男でした
何事もなかったかのようにリビングでテレビを見始める柴原さん。動揺してるのは私だけのようだ。

未だバクバクしている心臓を落ち着かせるため、私は明日の準備を始めた。お米を研ぎながら、柴原さんの後ろ姿を盗み見る。

柴原さんは姉に恋愛感情はないと言った。
情だと言った。
だけどすずは紛れもなく二人の子で、責任のためかもしれないけれど結婚もしている。

そんな柴原さんを私はいつの間にか好きになってしまったようだ。

一緒に住んで一緒にすずを育てている。

私も柴原さんに情がわいただけじゃないの?
好きだという気持ちは勘違いじゃない?
そう、いわゆる吊り橋効果ってやつ。

でも柴原さんは私を好きだと言った。
柴原さんこそ吊り橋効果にやられてるんじゃない?それこそ情がわいたと思うんだけど。
それに、その想いに応えてしまったら私は罪悪感に苛まれる気がする。
ていうか、不倫だ。
それはやっぱり、ダメでしょう?
< 101 / 112 >

この作品をシェア

pagetop