訳あり冷徹社長はただの優男でした
私たちは変わらず三人で暮らしている。

毎日のどたばたも変わらず、仕事をしてお迎えに行ってご飯を作って食べさせて、お風呂に入れて。
本当にやることがたくさんで大変だ。

それに語彙も増えて主張もしっかりしてくるようになったすずに、時にはむかついたり怒ったりケンカしたりと女同士のバトルを繰り返している。そしてその度に柴原さんに諌められたりと、本当に怒涛の日々を送っている。

ていうか、柴原さんが優男すぎて私だけが怒っていることに若干苛立ちを覚えたけど、柴原さん曰くそれでいいらしい。

「美咲、叱る時はちゃんと逃げ道を作っておくべきだよ。美咲が叱るなら俺は逃げ道になるから。」

なんて優しく諭されてしまっておずおずと引き下がった自分がいる。優男なんだけどちゃんと考えているのかな、私が怒りすぎてるだけかなと反省もしたりするけど、どうなんだろう。

「美咲ってもう立派なママだよね。」

「それは褒め言葉として受け取っていいの?」

「もちろん。」

柴原さんは笑うけど、私の心は複雑だ。
だってやっぱりすずの中でママはママでしかありえないだろうし、私はねえねだし。
それになんといっても結婚も出産もしてないのに“立派なママ”って、いろいろ飛び越えすぎてため息が出てしまう。
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