訳あり冷徹社長はただの優男でした
すずの食べっぷりがすごいからだろうか、柴原さんは私にコンビニのおにぎりを手渡してくれる。私はありがたくそれをいただいた。

「検査は終わった?」

「異常なかったので、明日退院できます。」

「そう、よかった。」

折しも階段で倒れたらしく、頭を打ったのではないかという疑いで検査を受けたが特に異常はなかった。点滴のおかげかずいぶんと体の調子もいい。調子がよくなると、とたんに入院生活は苦痛になる。早く元の生活に戻りたい。

だけどひとつ気になっていることがある。
もちろん、すずのことだ。

また私と暮らすべきなのか、それともパパとしての責任を果たすべく柴原さんが育てるべきなのか。どちらが正しいのだろう。

「退院したら、すずはどうしますか?」

「うん。俺が引き取った方がいいのかといろいろ考えたけど、すずは君に懐いていて俺では全然ダメなんだ。だから、できればこれからも協力してほしいと思っている。」

「それはもちろん、協力しますよ。」

きっと、情が芽生えたんだと思う。
この入院中、頭の中はすずのことばかりだった。キャリアウーマンになって仕事に生きるのが夢だったはずなのに、いつの間にかそんな夢は捨ててしまっていて、それよりもすずのことで毎日頭がいっぱいなのだ。
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