ごめん。ぜんぶ、恋だった。
「隣にいる人って境井先輩だよね?美人だってバスケ部でも話題になってるよ」
「そうなの?志乃ちゃんスタイルもいいからモデルみたいでしょ?」
志乃ちゃんのことが大好きだから、褒められると自分のことのように嬉しくなる。
「でも、お兄さんもイケメンだよね」
「う、うーん……」
素直に認めるのが嫌で『でしょ!』と即答はしなかった。
たしかにお兄ちゃんは整った顔をしている。
目は切れ長で機嫌が悪いと鋭い目付きをすることもあるけれど、憂いを帯びた瞳は色っぽささえ感じさせる。
中学の時もお兄ちゃんはモテていたけれど、今のほうが騒がれている声は多いかもしれない。
図書室に着いて、私はカウンターの中へと入った。
図書委員って本を貸し出したりするだけなのかなと簡単に思っていたけど、そうじゃない。
本の貸出と返却の受付を行うカウンター班だけではなく、バーコードシールを付けて透明のカバーをかけたあと、図書室の本の印である蔵書印を押すブッカー班や本棚の管理を行う書架整理班。
さらには小冊子やポスター作成を行う広報班まである。
すでに頭がいっぱいいっぱいになってしまっているけれど、図書室には次々と生徒たちがやってきた。