ごめん。ぜんぶ、恋だった。


机には、たくさんの本が積まれていた。

一番上にあったものを手に取ると、そこには経営学と書かれていて企業活動や原理・構造と、私には難しい単語ばかり。

不真面目に見えるお兄ちゃんだけど、頭ではしっかりと将来のことを見()えている。


……すごいな。経営学って、会社とかを自分で作ったりすることを勉強するのかな。

私は高校に入学したばかりなのに、やっぱり二歳の壁は大きいと思う。


「お兄ちゃん。こんなところで寝たら風邪ひくよ」

肩を叩いても、お兄ちゃんはよほど疲れているのか目を開けない。


こんなに無防備に寝るなんて珍しい。っていうか、お兄ちゃんの寝顔は久しぶりに見たかもしれない。


……男のくせに、まつ毛長いな。肌も私より綺麗だし。

そう思いながら、私はお兄ちゃんのつむじを見た。

身長差が広がってから確認することはできなかったけれど、お兄ちゃんのつむじはふたつある。

つむじがふたつある人は天才の証だ、なんて小学生の時にお兄ちゃんに自慢されたことが懐かしい。

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