ごめん。ぜんぶ、恋だった。



「なんか仁菜子ちゃんっていい匂いするよね」

「え、そうかな?」

ルームウェアを志乃ちゃんに選んでもらった日に、ボディクリームやヘアオイルのことも色々と教えてもらった。


「あと、最近化粧もしてるよね」

速水くんに顔をじっと見られると、私はどうしたらいいのかわからなくなる。

アイシャドウもリップも本当に薄く塗っているだけなのに、速水くんはすぐに気づく。


「速水くんにもらったサンプルで練習してるけど、全然まだ上手くできないよ」

「そんなことないよ。可愛いよ」

「え、か、可愛い?私が?」

「はは、うん。化粧してもしてなくても、仁菜子ちゃんはずっと可愛いよ」

その言葉にカーッと顔が熱くなる。


男の子に可愛いなんて……初めて言われた。

速水くんは優しいからお世辞かもしれないけど、これは素直に嬉しい。


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