ご利益チョコレート


次の日、資料庫で書類の整理をしていると、背後に人の気配。


「お前、ちゃんとオレに言えよ」


振り返ると明らかに不機嫌な国島さん。


「多田から聞いた。ずっとか?」


手に持った書類をファイルに綴じながら、首をかしげる。


「あれって思ったのがここひと月くらいですかねぇ……」


国島さんが憮然とする。


「オレも気を付けて見とくけど、何かされたら遠慮せずに大声上げろよ。絶対に!」


「了解です」


笑顔を返すとホッとしたような表情をする。


それからは部長に極力一人で接することがないように、それと分からないように国島さんが気を使ってくれて、何となくおさまったような気がしていた。


油断していた。


その日は期明けの部内のお疲れ様宴会の日だった。

わたしは課長に振られた仕事が定時までに終わらず、宴会は7時からということで後から合流しますとオフィスに残っていた。


国島さんは多田さんと外に出ていたけれど、部長も昼から会議とかで姿を見ていなかったので安心していた。
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