お嬢様と呼ばないで
「?」
「私は大丈夫だから!ね、大丈夫、だいじょうぶだから」
「すみれ……」
またしても誰もいない道で泣き出した彼女を彼は優しく抱きしめた。
「本当ごめん!俺のせいで」
「違うよ、そうじゃないよ……」
自分だけが苦しんでいたつもりの彼女は良平がずっと気にしていた事を知り、急に恥ずかしくなっていた。
「すみれ」
「もう、もうだいじょうぶ。あのね、私は本当に平気だよ、だってさ、友達できたし」
「ああ、芹那って元気な子と、美友ちゃんだっけ?天然の」
「天然?そうだね。天然の優しい子だよ」
こんな二人にバスが来たので一緒に乗った。
空いていたので二人で一緒に後部座席に座った。
「なあ。あのさ」
「なに?」
「朝、何時のバスに乗ってんの?一緒に来ようぜ」