三次元彼氏。


4人で帰ることはよくあるけど、出掛けるのは久しぶりだな。


「あっ…」

「…ん?」


となりで、ほのかが短く声を漏らした。


「…どうかしましたか?」

「…すみません、課題レポート出しに行くの忘れてました。3人で先に行っててください」

「あー…じゃあ、僕待ってますよ」

「え…そんな、大丈夫…」

「おーい早瀬いるかー?」


突然低い声が早瀬の名前を呼び、僕はその声の方を見た。

そこに立っていたのは、日本文学史の担当教師。


「はーい、何ですか?」

「何ですかじゃないよ。この前の講義レポート、全然書けてないから再提出だ」

「えー! ちゃんと書きましたよ俺」

「周りのやつらは2枚も3枚も書いてるってのに、お前はたったの5行だぞ、5行。やばいだろさすがに」


……ご、5行………ある意味すごいな…………


「えー、俺頑張って書きましたよ、大目に見てくださいよ〜」

「大目に見たってこのままずっとこんな調子じゃ単位落とすぞ」

「うげ、それだけは勘弁してください」

「だったら再提出な。今日中に出せば減点1割で許してやるが、どうする?」

「ええ〜……」

言いながら、ゆっくり振り返り僕達を見る早瀬。


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