オモイドオリ
『……』
早く、言えよ。
お前は、一体……何者なんだよ……。
嫌な汗が、背中を伝う。
俺は鼓動が高ぶるのを感じながら、次の声に耳を研ぎ澄ませた。
『……水無瀬、』
「ゆ、許してくれ! 俺は、俺は……うぅ……。」
どうしてもその先を聞きたくなかった。
何も知りたくない。
知らないままでいい。
俺は、頭を抱えてうずくまった。
『ちょっとぉ、まだ何も言ってないんだけど。』
「あぁ……ああああああぁぁぁ……!」
動揺しまくった俺の耳にはもう何も届かない。
『ねえ、水無瀬、って……』
『誰なの?』