私立秀麗華美学園
初等部では一緒にいることを義務づけられた。

1桁の歳の頃だ。特別な感情なしにも、それなりに気の合う相手なら行動を共にすることになんら抵抗はなかったのだろう。

そのおかげで俺が彼女に拒絶されるということはなかった。
こればっかりは、小2のうちに引き合わせてくれた親に感謝だ。



中等部に上がった頃、学園に『PAK制度』というものが導入された。


女は姫で
男は騎士


『物騒な世の中、男は女を守れるように』
そんな名目の元で、節目ごとに男女のペアが成された。

政略結婚の第一段階というところだ。

もちろん生徒の側からすれば、学園からの指示ということで従うほかなかった。



『PAK』が一体何であるのかというと、何のひねりもなく『Princess And Knight』の略称だ。

和訳:姫と騎士

お偉いさん方、このネーミングセンスはいただけないのではなかろうか。





だけどそんなことは俺にとってはどうでもよくて。


ただ、彼女が俺と1対1の関係にある。

中身はどうあれ確実な『特別』が約束されたのだ。

俺にとっては大事なのはそこだけで、その他には何もいらないような気さえしていた。




例え姫の心が騎士に向いていなくても


一方通行な思いでも


それすら受け入れてもらえないのだとしても





彼女のそばにいる権利を持つことが許されている。


俺にとっては、ただそれだけで、十分だったのだ――――
















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