私立秀麗華美学園
「2人共ーっ! こっちぃー!」


咲の大声に導かれ、2人は恥ずかしそうにこちらへ走って来た。


「あっ……あの、さっきは」

「いいわよ、別に。こちらこそごめんなさいね。驚かせちゃって」


ゆうかはまるでさきほどの様子とは別人のように、三松に微笑んだ。


「あっ……ありがとうございます……」


堂本は俺たちに向かって深々と頭を下げた。このまま土下座でもしそうな勢いである。


「ま、俺たちは仕事こなしただけだし」

「いえ、あなたたちがいなければ、僕たちが結ばれることは決してなかったでしょう」


む、結ばれ……。


「あれ? お前そういや失恋したって……」


雄吾がぎろりと俺を睨んだ。
……はっ! こんなことをばらしては……!


「どうしてご存知なんですか? それ、嘘なんです。友達に言ったことなんですが……」


幸い大して気にはしていないようだ。
危ない危ない……。


「嘘? そんな嘘ついてどうすんの?」

「……もう、知っているんですよね? 私たちがあのプロジェクトに関わっていることなどは……」

「まあ……」

「私たちは、普通の学校生活を送ることができないんです」


三松は深くため息をついた。


「僕たちは恋愛もご法度なんですよ。とにかく目立ってはいけなくて。それと、どこの家の出であるかがばれないように、と」

「本当は駄目だったんですけど……少し、私も感づいていたので。皆様に思い切ってご協力をお願い致しました」

「恋愛の話のひとつもないと怪しまれますから、友達には適当に話を合わせていたんです」


なるほど。天才くんは本当によく考えている。
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