俺のボディガードは陰陽師。



校門とは逆方向の裏口である、西出口から校内に入る。

もう、遅刻寸前。

ダッシュで正面玄関口へと駆け込み、靴を履き替えて慌てて階段を一段飛ばしで駆け上がる。

廊下で担任の先生追い越し、予鈴と共に教室滑り込みギリギリセーフ。

間に合った…。



「伶士、寝坊?めずらしー」



慌てて教室に駆け込み、ハァハァと息をきらして席に着く俺を見てニヤニヤと笑っているのは、クラスメイトであり、同じサッカー部の友人である颯太(はやた)。

あどけなく可愛い感じの少年っぽさが残るキャラのはずなのに…何だか悪そうに笑ってきやがる。



「朝練ないと思ってうっかりしたろ。魔の火曜日」

「いや、ホントだわ…」



…と、一番仲良くしている友人にも、本当のことを言い出せず。



いや。言えるかってんだよ。

まさか、急に何かの手によって椅子から転げ落ちて。

気付いたら、顔から胸まで口紅ねっとりキスマークだらけでした。

…なんて、言えるか。



自分の実家のことも、話せてないというのに。

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