俺のボディガードは陰陽師。

気付けばそこにあるもの

★★★








妖化を沈めて、成仏させる。




あの黒い翼の男の手によって、妖怪と化してしまった、鹿畑倫子さん。

生き霊でも、死霊でもない。

この世のものではない妖怪となってしまい、成仏への道が断たれ、調伏せねばならない状態だった。



なのに…。



「じゃ、ボス。いつもの不動縛よろしく。長めに」

「言われなくてもわかってる」



そう言って、指を組んでブツブツと唱え始める。

なずなはここから離れて、妖怪の方へと歩き出す。

これから何かが始まるのかと思うと、空気に緊張感があるような気がした。




《…ああぁぁぁっ!…ああぁぁぁっ!》




菩提さんが顔を上げると、妖怪が悲鳴を上げ出す。

動けないでもがいている様子だった。

そういう術をかけたのか?



「あ、あぁ…倫子さん…」



母さんから、不安そうな声が漏れる。

彼女の苦しみもがく様子に、切ない表情を浮かべていた。




「…奥様はご存知だったのですか?」



その様子を見て、菩提さんは母さんにさりげなく問う。

母さんはぎこちなく頷いていた。


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